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街道自転車通勤・四方山話-3 ★★★★★★★7/10点 2009-05-31

矢橋の渡しは大津石場と草津矢橋を結ぶ近江八景の「矢橋の帰帆」。仁兵衛もシジミ漁ばかりでなく小舟に客を乗せた。「一人早舟十銭、二人十五銭」の立て札で客を呼んだ。この立て札がくせもので美人が港に来ると紙をペロンとめくり「一人早舟五銭、二人七銭」と半額になる。

で、美人も旅の出費は始末したいから安い仁兵衛の渡しを選ぶ。十兵衛は要領が悪いからペロンは持たず男ばっか。仁兵衛の悪知恵はこれだけではない。座席は 行く先を向くように座るのが普通だが仁兵衛は美人だと背もたれをカチンと嵌めて船頭の漕ぐ後ろ向きに座らせる。美人も背もたれにもたれてゆったりと船で渡る方が気持ちがよいから文句は言わぬ。

仁兵衛は時たま「ニョロッ」と揺らす。「また比良おろしだ」と風のせいにする。美人は揺れで上半身がふらつくから座る両足を広げる。しめしめと仁兵衛の目は裾に行く。腰巻きだけだもんね。仁兵衛の船の座面が低いのは船頭の目の角度のため。

急がば回れの語源である「もののふの 矢橋の船は速けれど 急がば回れ 瀬田の長橋」など仁兵衛は知る由もないが本当に風で船が転覆するからその語源になったのだ。

仁兵衛も美女と三度転覆した。美女はなりふり構わず仁兵衛に抱きついてくる。三度とも十兵衛に助けられたのは幸運だったが仁兵衛はなかなか助けの船に乗ろうとしない。抱きついたままが良いらしい。

ここは東海道。女が濡れて通る道。

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