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心拍数

[加藤建三]
血圧が正常範囲に入るなんて予想もしていなかったから.....

[佐賀 とくさん]
心拍数が高いのは心も正直な証拠ですね~?


[加藤建三]
よく見てらっしゃる。そういう具合に突っ込んでくれなきゃ事実を書けなかったんだよ、またもやかとけんはありもしない嘘八百並べとるって、白い目で見られるから書けなかったんだよ。突っ込み、おおきに、おおきに。

心拍が高いのはね、ミニスカートで上着は胸まで見えそうなナースが、「かとうさん、どうなさいました」って身を寄せてきて俺の胸元から脇の下へ、スベスベ ピチピチの手を入れてくるんだもの。心臓パクパクあたりまえだろっ。脇に残ったのは体温計だけ。血圧測りながらいつまで経ってもスベスベピチピチの手が忘 れられなくって.....。

声かけたんだ。「今夜は何時に終わるの?」って。「八時過ぎよ、いいことあるの?」......乗り気じゃないの。

実はこの診療所の近くの私の家が四丁目で娘の家が七丁目。中間の五丁目と六丁目あたりに五邸分の土地が買ってあってケヤキやクスノキなんかの大きな木を沢 山植えて林を作ってある。その中で野趣を楽しめるように大きめの小屋を建てた。電気もガスもわざと使わずに薪オーブンや赤々と燃える暖炉。灯りは蝋燭とい う自然の気配漂う空間だ。元々娘たちと火を焚いて肉や魚を焼いてワインをかたむけて楽しむためにあるのだが、酒を飲まなくなって使う事が少なくなった。

スベスベピチピチのナースさんに「貸切りログハウスで肉でも焼いて遊びませんか?」って誘うと二つ返事で「いいわよっ」とあいなりき。

炉に火を入れて待つ。分厚い木のドアをノックする音。暖炉のそばで見るスベスベピチピチの顔は揺らぐ炎にゆれて、それはそれはロマンチック。この小屋は俺 が酔って帰れなくなることを見越してふわふわの大きなベッドがしつらえてある。蝋燭の明かりに浮かぶベッドは否応なしに二人の目に入る。食事もそこそこ に......

多少の声が出ようが林の外まで聞こえない。多少ベッドがきしもうが林の外には聞こえない。このときの心拍は相当速かっただろうが覚えていない。夢中でしたから。一旦心拍は落ち着きますがその夜は朝までに五回も高速ポンピングでしたよ。心臓もあれも......。

しまった、全部書いてしまった。お願いっ。誰にも云わないでください。内緒にしておいてください。お願いっ。また遊ぶ約束しちゃったもんで。

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